2012年07月27日

この機会を逃せば次に取り上げるチャンスはなかなかないかもしれない(横山幸雄)

「この機会を逃せば次に取り上げるチャンスはなかなかないかもしれない(横山幸雄)」
─オール・リスト・リサイタル同日に、リスト:超絶技巧練習曲全曲による追加公演が決定!

http://www.japanarts.co.jp/html/2012/piano/yokoyama_liszt/index.htm
yokoyama_photo.jpg

─毎年東京オペラシティで行われる夏のリサイタルシリーズが、今年は昨年に引き続き、オール・リスト・プログラム。それも、3部構成の昼の部に続き、夕方からの追加公演が決定しました。
 昼の公演の後にちょうどホールも空いていたので、アンコールの延長のような気持ちでもうひとつ演奏会を行うことにしました。昨年の超絶技巧練習曲全曲プログラムをもう一度聴きたいという声、聴き逃してしまって残念だという声を、想像以上に多くいただいたからです。間を明けて再び仕上げるのは大変な作品ですし、この機会を逃せば次に取り上げるチャンスはなかなかないかもしれないと思い、今年も演奏します。追加公演は手ごろな価格に設定してありますから、ぜひ両公演併せて聴いていただきたいですね。

─やはり超絶技巧作品は、弾きこなすまでに大変な練習が必要なのですね……。
ピアノは自分の手足ではありませんから、それを自分の手足ぐらいまで思い通りにコントロールできるようにならなくてはいけません。そのうえで、作曲家が何を考えていたかを再現し、作品の魅力を引き出してゆきます。練習をしなくても、常にピアノが手足のように自由に動かせるほどになれたら、むしろそれが理想だと思いますが。リストの作品は、超絶技巧作品でも、技術的にはあまり違和感はありません。ただ、表現として「ここまでやるんだ!」と思うことはあります(笑)。

─昼の部は、技巧的作品、民族色の強い作品、そしてロ短調ソナタという3部構成です。
 地方では、同じ都市で何度も演奏会をできることはなかなかありません。でもやはり東京は公演数が多いので、メインとなる演奏会では、プログラムに特にテーマ性を持たせて取り組みたいと思っています。
技巧的作品群では、リクエストの多い『ラ・カンパネラ』や『マゼッパ』、練習曲ではないけれど技巧を駆使した『メフィスト・ワルツ』など、人間業の限界に迫るような作品に、リストの練習曲としては比較的穏やかな『ため息』『森のささやき』を織り交ぜました。民族的作品群については、当時ヨーロッパの中心にいた人々を魅了したエキゾチックな要素を持つ作品を集めました。そして最後には、ソナタ中心の古典派の時代から、ロマン派を象徴する小品が増える時代への過渡期に、リストが唯一書いたピアノソナタを置きました。

─リストのロ短調ソナタについてはどのような印象を持たれていますか? ちょうどリストが今の横山さんの歳の頃に作曲した作品です。
リストがピアニストとして第一線を退いたあとに作曲されていますよね。山あり谷あり、ひとりの人間の人生が凝縮されたような作品だと思います。ですが、例えばベートーヴェンの晩年のソナタのように、演奏するにあたって身構えるものはなぜかあまり感じられません。

─夕方の部で演奏されるハンガリー狂詩曲第2番ですが、これほどにメジャーな作品をこれまで演奏会で取り上げたことがないというのは意外ですね。
 リストの代表曲の中で、唯一演奏会で弾いていません。この作品は、ある意味でリスト作品の俗人的、ショー的な要素が強く反映しているものだと思います。これまでどうしても芸術的、哲学的な作品に興味がいく傾向にあったのですが、代表的作品を一通り演奏した今、ふと、これをあえて取り上げてみようという気持ちになったのです。

─リストの魅力はどのようなところにあるのでしょうか?
 ピアノを奏でることは、芸術的作業でありながら肉体的な限界も求められ、ときに哲学的要素、エンタテイメント要素も求められます。リストはその全てを持ち合わせていると思います。

──会場では、10月にリリース予定の新譜が特別に先行発売されるそうですね。小泉和裕指揮東京交響楽団との共演による、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番と、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番が収録されているそうですが。
 昨年のデビュー20周年演奏会のライブ録音です。普段協奏曲はなかなか自分でプログラムを選ぶことができませんが、この時ばかりは自分の演奏したいものを選びました。当日はこの2曲に加えてラヴェルのピアノ協奏曲も演奏しましたが、これは収録時間の都合で入っていません。このCDのリリースは10月の予定ですが、9月9日の演奏会場で特別に先行発売されることになりました。「早く聴きたい!」と思ってくださったら是非、会場へ足をお運びください。もちろん僕もこのときに初めてCDを手にするわけです。。

─ここ最近の演奏活動の中で大きな出来事を挙げるとすれば、何でしょうか? また、これからの活動のご予定は?
 やはり、3年連続でショパンの全曲演奏会をやったことは大きいです。ショパンは、好きも嫌いも通り越して、自分にとってますます自然な存在となっています。ショパンは病弱だったので、僕と生き方や表現の仕方は違いますが、人間としての在り方が近いと感じるのです。近く大阪で2日間にわけてショパン・ピアノ・ソロ全166曲演奏会をします。
大阪 ザ・シンフォニーホール
http://asahi.co.jp/symphony/event/detail.php?id=1629

それから、今後についてはまず近いうちにリスト作品集の録音があります。そして、三鷹の「Voyage〜ショパンからラフマニノフを結ぶ音楽の旅路〜」シリーズも継続中です。
どちらも、ぜひ楽しみにしていてください。
http://mitaka.jpn.org/ticket/1210070/
(インタビュアー:高坂はる香)

横山幸雄公式HP
http://yokoyamayukio.net/


≪横山幸雄の超絶技巧練習曲について≫
 並ぶものなしといいたい卓越したテクニックと輝くような音色を背景に横山幸雄はリストが書き残した宝石をちりばめたかのようなピアニズムの世界を、まばゆい光と色彩感、しかもときに美の誘惑とすらいいたい甘美なる表現で再現、リストに対する私たちの認識すら変える素晴らしい演奏を聴かせている。「超絶技巧練習曲」はリストという天才がピアノの機能美を極限にまで追求し、ピアノという楽器の表現力を120パーセント開花させた力作である。技巧的にも空前の絶後の至難さが求められており、それは多くのヴィルトゥオーゾたちの前に克服すべき課題としてそびえ立ってきた。名手たちは時に競うかのようにこのハードルに闘いを挑み、鍛え抜いたテクニックを駆使して征服の過程を披露してきたが、横山幸雄のピアノで聴く時、この練習曲はかつてなかったしなやかな美しさと風格をもってその全貌を現したと思われてならない。とにかくヴィルトゥオジティという技巧の陰に隠されていた微妙な陰影感が実に味わい深い息づかいで引き出されており、19世紀ロマン派を生き抜いたリストの夢と憧れと憩いとがおもむろにその姿を現しているのである。こうした演奏が可能になった背景には、横山幸雄というピアニストの中で技巧と音楽性とがますます高い次元で調和し、ヴィルトゥオジティの質そのものがより純度の高い美しさを獲得したためではないかと思われる。リストが鍵盤上に繰り広げた音のステージはまさに空前絶後であり、牧歌的な優しい世界からオーケストラすらも凌駕するかのようなダイナミックな表現にまで至っているが、横山幸雄のピアノは目前の課題にのみ惑わされることがなく、大きな視野とゆとりある表現力を駆使して作品を解き放っており、リストが彼のライフワークとして完成させた作品の全貌を感動的に聴かせてくれる。(〜中略〜)
(CDライナー・ノーツより 抜粋)
*このCDはその後、ハンガリーのリスト協会から「国際フランツ・リスト賞 レコードグランプリ最優秀賞」を受賞することになる。世界が認めた横山幸雄の超絶技巧練習曲全曲が生で聴けるこの上ないチャンスをお聴きの逃しなく!!

posted by JapanArts at 15:03| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。